イタリア南部の気候が活きた食文化
南イタリアは、アドリア海、イオニア海、ティレニア海という3つの海に囲まれた海の豊かな地域です。
地中海性気候なので、海流のおかげで冬でも温暖ですが、夏はほとんど雨が降らず、とても乾燥する地域です。
それを活かして、乾燥に強いオリーブや柑橘類、ブドウの栽培が盛んな地域で、牧畜も行われています。
日本でも輸入しているたくさんのオリーブオイルやトマトの加工食品、チーズなども南イタリア産のものが多くあります。
ユニークなのは乾燥パスタの生産もとても盛んなことです。
北イタリアは生パスタが主流ですが、南部は日照時間がとても長く雨も降らない乾いた空気なので、乾燥パスタが主流です。
日本でも乾麵や素麵など九州産が多いですが、同じような食文化が発達したわけです。
もちろん、三方が海ですから、新鮮な魚介類を豊富に使った料理も多く、オリーブオイルと合わせた食品も多数あります。
南イタリアには、イタリア南部の地形や気候の特性が十分に活かされた料理が揃っているわけです。
代表的な料理は
イタリア料理と言えばピザを思い浮かべる人が大勢いるでしょう。
ただ、南イタリアのピザは、薄いクリスピー生地のピザではなく、モチモチとした分厚い生地のピザが郷土料理です。
ナポリはピザ発祥の地として知られていますが、まさにナポリピッツァ(ピッツァ・ナポレターナ)が南イタリアの代表的な料理です。
ピザは日本でも様々にアレンジされていますが、イタリア国旗をイメージしてマルゲリータ王妃に捧げられたマルゲリータも、もちろんピッツァ・ナポレターナです。
ピザの縁が大きく膨らんでいるのが特徴ですが、これはコルニチョーネという独特の特徴であり、証と言われています。
他には、船乗りが良く食べていたという、トマトとオリーブオイルとニンニクとオレガノのマリナーラも有名でしょう。
他には、魚介類とトマトを煮込んだアクアパッツァも代表的な料理です。
カンパニア州の代表料理で、スズキやタラ、メバルなどの白身魚、青魚、ムール貝やアサリなどを煮込んだ料理です。
実は日本の栃木県の郷土料理にも、耳うどんがありますし、耳の形の小麦料理は世界中にあるようです。
あまり造られていないシチリアワイン
南イタリアは美味しいワインの産地でもありますが、ブドウ品種が本当にたくさんあり、多種多様な品種が栽培されています。
ほんの一部ですが、フィアーノ、ファランギーナ、カタラット、ネグロ・アマーロなどが有名です。
また、イタリア最大の州であるシチリアは、島でありながら気候の多様性があり、エトナ火山を中心に島全体の標高が高い特徴があります。
つまり、南の島らしからぬ冷涼な畑が多く、雪も降りスキーも出来る多様性に富んだ地域です。
ワインはヴェネト州やエミリア・ロマーニャ州、プーリア州という大手の州と生産量を争いますが、栽培面積に比べてワイン生産者はほとんどいません。
ぶどう栽培は行っても醸造は行わない農家が多く、ぶどうは他のワイナリーなどにバルクワイン用に売ってしまいます。
それでも近年ではシチリアでも少数で高品質なワインを造る生産者現れ始め、徐々に評価も上がって来ました。
シチリアのポテンシャルは高いはずですから、これからもっと期待が出来るでしょう。